はじまりは、同世代の紙漉職人との出会いから。
越前や美濃と並び、日本三大和紙のひとつとされる土佐和紙は、
かつては書籍や帳面はもちろん、家具家財に身の回りのあらゆる品々に用いられ、
紙幣やタイプライター用紙などにも用いられ高知県経済を支えていました。
最盛期には伊野町(現在のいの町)や高岡町(土佐市)で300近い種類の紙が作られていたといわれ、
高知県庁には全国唯一の「紙業課」まで設けられていたほどです。
しかし、その後の洋紙の普及により、土佐和紙はその用途の多くを失いました。
現在では文化財の修復や内装材、工業用品などに用いられる一方、
身の回りでは写経用紙や書道半紙、ちぎり絵などの趣味の用紙として見かける程度です。
こうした状況下、2009年秋にいの町紙の博物館で開催された「使える和紙展」の
企画・ディレクションをタケムラデザインアンドプランニングが担当します。
50通りの「土佐和紙の使い方」を探る本展で原稿用紙や領収書、生紙など
現在の土佐和紙プロダクツ商品の「祖先」とでもいうべきアイテムが生まれています。
そして、本展を通して出会った同世代の若手紙漉職人さんたちの協力を得ながら、
以後現在に至るまで土佐和紙プロダクツの活動、
すなわち「土佐和紙の使い方」の幅を微力ながら広げていこうとする活動につながっています。
土佐和紙の良さを伝えるために
現在、商品の企画やデザインは、「タケムラデザインアンドプランニング」と「d.d.office」、
活版印刷の普及に取り組む「竹村活版室」が共同で取り組み、
その用紙は紙漉職人さん本人やいの町・土佐市などの機械漉き工場から仕入れたものを使っています。
タケムラナオヤ[タケムラデザインアンドプランニング]
1973年高知市うまれ。京都造形芸術大学環境デザインコース卒業。設計事務所や地域計画コンサルタントを経て2008年より現職。各種グラフィックデザインの他、「JPN47(講談社)」や「アヴァンギャルド高知(東京ニュース出版社」などの刊行に関わる。
山根綾子[ディー・ディー・オフィス]
1970年高知市生まれ。デザイン事務所勤務を経て、2005年に独立し事務所設立。商品販促計画、それに伴うグラフィックデザインやパッケージデザイン、美術関連のグラフィックなどを行っている。
竹村愛[竹村活版室]
1981年安芸市生まれ。嵯峨美術短期大学グラフィックデザインコース卒業。デザイン事務所、編集事務所、印刷会社(デザイン部)を経て、2011年竹村活版室オープン。
小笠原裕美子[タケムラデザインアンドプランニング]
1984年高知市うまれ。2005年京都造形芸術大学空間デザインコース卒業。2009年よりタケムラデザインアンドプランニング。